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2004年8月19日

白夜行(東野圭吾)


1973年、廃墟となったビルの中で殺人事件が起こる。必死の捜査にもかかわらず、犯人は分からずじまいだった。それから19年。この事件をいまだに執拗に追い続ける元刑事笹垣がいた。被害者の息子桐原亮司、容疑者の娘西本雪穂。不可解な出来事が起こる陰には、二人の存在が見え隠れしていた・・・。

雪穂のしたたかな生き方。だが彼女が何を考えていたのかは、この作品の中ではいっさい語られていない。それは亮司にしても同じだ。すべては読者にゆだねられている。私たちは真実を知るために、作品の中に散らばる一つ一つの出来事を自らの手で組み合わせていかなければならない。亮司と雪穂、彼らの心の奥底に揺らめいていたものは一体何だったのだろう。二人が、夜と昼の狭間の中でしか生きられなかったのだとしたら、あまりにも哀れすぎる気がした。

ゆこりん : 22:56 | コメント (14) | トラックバック (15) | 作者別・・ひがしのけいご

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コメント

秘密、手紙、そして白夜行。東野ファンからお借りした大切な三部作目なのですが、評価は本当のところ★ゼロ(いやマイナス∞)です。
またしても隠し球。しかも忌まわしい・・・。
さらに秘密以上の、また別の後味の悪さ。
次々繰り出されるドギツイ刺激に辟易しながら、(東野)ミステリーの大作と評されるものとはこういうものなのか、今枝探偵をキーパーソンとなり得る存在として登場させておきながら殺してしまった時点で興味の大半が削がれ、この手の本は軽く受け流しながら読むものなのかなと(東野)ミステリーの読み方を学びました。
犯罪者とされる主人公男女は、実は過去においては重大な被害者であったわけであるが、白夜と称する倒錯を妄想との批判を恐れず、ここまで書き綴れる構成力と描写力には感心しますが、読後に与える後味の悪さは作者の趣味なのか、意図なのか別の意味でも感心(寒心)させられた。
真の変質者の独白を聞かされているようで薄気味が悪かった。
幼くして心身に傷を負わされ、やむにやまれず行ったことが殺人やその幇助だったとしても、成長後は同種の犯罪を憎むことはあっても、その後ずっと健全な感情を持たない犯罪者として成育し、身近の罪のない人々を傷つけていくなどというあり得ないことを実際起こった事件を持ち出したりしてまことしやかに設定すること自体、現実の性犯罪被害者やその家族にとってみたらとても受け入れられないし、そういう善意の被害者に対する冒涜とも受けとめられても仕方がない。
描写にリアリティがあるだけに、娯楽のための架空のミステリーものですよ、では済まされない重みが作者が素材として取り上げた対象にはあることを認識すべきだと思う。
ミステリーは虚構(フィクション)のうえに成り立っているとはいえ、児童期に心の傷を負わされた犯罪被害者の心情に配慮のないストーリプロットに送られる賛辞には到底、同意できない。
そもそも、「白夜」を照らすものは、やはり明るく暖かい太陽であり、作者が描きたかった太陽が昇らない暗黒の闇を表す言葉(現象)は「極夜」という。こういう独善的でとんでもない誤用も隠し球と同様に不愉快である、と私は感じます。

投稿者 理系読者 : 2005年1月30日 01:02

理系読者さん、コメントありがとうございます。
人それぞれ、同じ本でも受け取り方が違いますね。
とても興味深かったです。

投稿者 ゆこりん : 2005年1月31日 15:29

おはようございます。
ゆこりんさん。
ぐいぐいと話に引き込まれ、500ページもあったのに二日間で読んでしまいました。
東野さんの本は、本当に面白いですね♪
すっかりファンになってしまいました。

投稿者 ゆう : 2006年1月16日 09:07

>ゆうさん
こんにちは。これ、面白いですよね。
私はこの作品を二度読みました。
自分としては珍しいことです(*^▽^*)
東野さん、私も大好きです。

投稿者 ゆこりん Author Profile Page : 2006年1月16日 15:25

ゆこりんさん、こんばんは!
読後重たく虚しさが襲ってしばらく呆然としていました。
深く深く考え込んでしまう作品でした。
ドラマ化されて一体どんな風に描かれるのか
興味深くもあり、怖くもあり…でもきっと見てしまいます(笑)
東野さん作品にはまり始めています(*^-^*)
TBさせていただきました。

投稿者 リサ : 2006年1月16日 20:18

リサさん、ヾ(@⌒ー⌒@)ノおはよう
すごく心にずしっと来る内容ですよね。
雪穂が何を考えているのか?彼女には人を
ぞくっとさせる怖いものが隠されているように
思います。ドラマとはちょっと違いますね(^^;

投稿者 ゆこりん Author Profile Page : 2006年1月17日 08:32

TBさせていただきました。
ドラマの原作ということで、大急ぎで読みましたが、山田君と綾瀬さんは、亮介と雪穂にかけ離れている気がしました。
原作では二人の心は藪の中なのに、ドラマではそれに光を当てているのが気になります。別のものとして見るしかないと思いました。

投稿者 早乙女 : 2006年1月21日 13:30

>早乙女さん
こんにちは。原作とはまったく違うものとして
とらえた方がいいのかもしれないですね。
ドラマでは初回ですべての真相を暴いていて、
ちょっとがっかりしました。
配役、特に雪穂については不評ですね~。
私もイメージが違うと思います。

投稿者 ゆこりん Author Profile Page : 2006年1月21日 14:35

こんにちは。
ドラマが話題にはなっていますが、視聴率は低迷だそうですね。
原作のファンとしては、複雑な心境です。
でも、つい見ちゃうんですけどねー。
では。

投稿者 ゆうき : 2006年2月 9日 09:56

>ゆうきさん
こんにちは~♪
視聴率、低迷ですか。ドラマはドラマとして
原作と切り離して考えると、それなりに楽しめる
ような気はしているんですが。
原作を読んでしまっているとどうしてもイメージが
合わなくて抵抗があります(^^;

投稿者 ゆこりん Author Profile Page : 2006年2月 9日 16:09

はじめまして。TBさせていただきました。
長編は苦手なのですが、この作品はさくっと読めました。
トリックと娯楽性があいまって私のような読者にはとても面白かったです。

投稿者 tamaki : 2006年2月28日 09:18

>tamakiさん
初めまして。コメントをありがとうございます。
長いけれど、あっという間に読めてしまう
作品でしたね。
続編の「幻夜」も面白いですよ♪ぜひ!!

投稿者 ゆこりん Author Profile Page : 2006年2月28日 16:56

3月は読書月間のもすです。
昨日、白夜行を読み終えました。
読者視点では色んな出来事をすべてリンクして把握できるのですが、
本の中の世界ではこれらの事件を結びつけられない歯がゆさにハラハラドキドキでした。(誰も真相にたどり着けなかったらどうしようってハラハラ)
続編も見てみたいです。

投稿者 もす Author Profile Page : 2006年3月26日 01:55

>もすさん
すべては推測の域を出ないですよね。
だからこそ読んでいて、いろいろな思いが
膨らむのかもしれません。
続編の「幻夜」を読むと、また次読みたくなります。
東野さん、「幻夜」の続編書いてくれないかしら?

投稿者 ゆこりん Author Profile Page : 2006年3月26日 09:07