「銀のしずく」への思い

知里幸恵さん。 彼女はアイヌ語学者知里真志保さんの姉で、

「銀の滴(しずく)降る降るまわりに」

の詩文で知られるアイヌ神謡詩「ユーカラ」の編者です。
詩才を見抜いたのは言語学者金田一京助博士でした。
彼女は旭川から博士のすすめで上京し、金田一邸でユーカラを
ローマ字で音に落とし、日本語に訳す作業に打ち込みました。
「アイヌ神謡集」の刊行は1923年。「序」には万感の思いを込めて

「その昔この広い北海道は、私たち祖先の自由の天地でありました」

と書きました。
しかし彼女は持病の心臓病のため、この本を手にすることなく
急死します。19歳の短い生涯でした。
2003年は生誕100年にあたります。作家の池澤夏樹さんを
代表に、故郷・登別に記念館もできます。
登別の市民グループも「アイヌ神謡集」の初版本を忠実に復刻した
本を刊行しました。
民族の魂と誇りを後世に伝え、自然を愛した彼女の生き方は、
多くの人々に感動を与えました。
彼女の短い生涯を描いた本も出版されています。

「銀のしずく」(北海道新聞社会部)

北海道に生まれ、北海道の自然を愛する心は、私も同じです。
彼女の思いをいつまでも忘れないために、五行歌のページに
「銀のしずく」という名前をつけました。